相続税コラム

相続税対策で重要なこと ~その1 借金について~

相続税対策では、財産を残す側(親)と受け継ぐ側(子)でお互いに情報を共有することが大きなポイントとなります。

相続の発生後にお子さんが事務所に見えますが、たまに聞く話は「父は、私たちに相談せずに相続税対策として借金をしてアパート建設したようですが、私たちは借金までしてアパート建設することを望んではいませんでした。いざとなれば不動産を売却したかった」といったものです。お子さんが遠方に住んでいる場合などは、初めて借金の総額を知ったという方もいます。お父様としては相続税対策としてお子さんたちのためを想って行っていることと想像でき、予めお子さんたちと共に進めた計画であれば問題ないのですが、お子さんたちからしたら想定以上の借金を継がなければならず困惑するものです。昭和の良い時代を経験した親世代と、その子世代とでは借金に対する考え方が違います。一般的にアパート経営が厳しくなるのは相続した後ですから借金の返済に苦労するのはお子さんということになるのです。

さらにまずいのは、相続後にお子さんがアパートを売却してしまうケースです。土地建物を売るのだからお金が残るはずだと考えたいところですが、売却代金から諸費用と譲渡税を引くと場合によっては借金が残ってしまいます。その借金は預金で返済しかありません。結局、この対策は更地1物件を失っただけということです。

財産のことは日頃からお父様に任せっきりにするのではなく、次世代のお子さんたちも関与し、家族全体で方針を共有することが理想ですが、せめても借金の総額くらいは知らせておくべきでしょう。

参考:国税庁ホームページ No.4126 相続財産から控除できる債務

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4126.htm